2020年6月15日月曜日

【読書】アダム・ロジャース(夏野徹也・訳)『酒の科学 酵母の進化から二日酔いまで』

20170620 アダム・ロジャース(夏野徹也・訳)『酒の科学 酵母の進化から二日酔いまで』(白揚社、2016年)

アメリカのワイアード誌の編集者である筆者がお酒にまつわるさまざまな謎を紹介する1冊です。
酒呑みとしては知りたい、蒸留、香味、酔う原因や二日酔いの原因などを科学者や現場の方々への取材を通して紹介されており、この本を酒の肴に数時間は呑めるなと思ってしまいました(うっとおしい)^^;
ただ、お酒に関する研究は、まだまだ分からないことが多いとのこと。科学的には酔ったり二日酔いになる要因というのは明らかになっていないそうです。
また、人間は5~6種類の香りをかぎ分けることはできないとの指摘もあったりします。ワインを色を同じにして呑んでもらう実験すると、赤ワインと白ワインの違いもわからなかったり、など(なので、ワインソムリエなどを批判する研究者の意見なども紹介されており、なかなか面白いです)。
さらに、洋書にもかかわらず、沖縄の平良(宮古島でしょうか?)のむかしの酒の飲む習慣が紹介されていたり(1960年代の本の引用ですが)と小ネタが満載です。
最後の訳者解説の一節ですが、これを読むと蒸留酒である泡盛、大事にしたいな、と。

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アルコール発酵は人がいなくても起こりますが、蒸留酒を造れるのは人類だけです。錬金術師の発明になるという蒸留法は今日まで絶え間なく改良が重ねられ、いわゆるスピリッツの数々を生み出しました。蒸留釜(スチル)のわずかな形状の違いが風味に影響することや、ウイスキー用のスチルが銅製でなければならないことといったことはわりと有名な話ですが(以下略)p.346
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【読書】仲村清司・藤井誠二・普久原朝充『肉の王国 沖縄で愉しむ肉グルメ』

20170816 仲村清司・藤井誠二・普久原朝充『肉の王国 沖縄で愉しむ肉グルメ』(双葉社、2017年)

 沖縄の肉食文化を勉強してみようかと読み始めてみた。が、結局、座学ではなく、実学がひじょーに大事だということをあらためて学ぶ。
 紹介されている多くは行ったことがあったお店だったのですが、その裏ストーリーが知ることができてとても面白い一冊でした。しかし、チーイリチーが食べられない状況は残念です。
 同じ仲村清司・藤井誠二・普久原朝充『沖縄 オトナの社会見学 R18』とセットで読むと、戦後沖縄の食と地域をさらに知りたくなっていく、大切にしたくなっていきました。
 ちょっと本筋とはずれるかもですが以下の仲村さんの大阪での沖縄人と在日コリアンの関係性の仮説、いまは変わってきているのだろうか、とか気になりました。わたしは関西にはまったく馴染みがないので感覚的にもわかりませんが、メモとして。あと、仲村さんのあとがきにあった、豚の睾丸は、わたしもかなーり気になりました(山羊のは食べたことありますが)。

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仲村
 ここで話を戻すと、肉をどう扱うかという文化の差異はとても大切で、見逃してはならないところですね。大阪で沖縄人と在日コリアンが交わりにくかったのは、ヤマト=日本人から差別されている者同士なのに、肉の扱い方に差異があるので、そこにあえて違いをつくってしまうということがあったのかもしれない。子どものときは野球とかして仲がいいのに、大人同士はそういうことがなくなるのでなかなか交われない。ちょっとしたことかもしれないけれど、じつは大きい問題だったんだなあと思います。
 僕が生まれたのは敗戦から十三年目ですからね。文化の違いを理解し合える心のゆとりも、お金もなかった時代です。日本人同士ですら各地の郷土料理を知らない頃だし、ましてや異国の食文化まで理解が及ばないよね。だって、日本人がエスニック料理を食べ始めたのは、一九八〇年代のバブルの頃になってからでしょう。
藤井
 いずれにしても、隣人のコリアンと互いに行き来はなかったという印象が仲村さんの記憶にはあるんですね。(p.235)
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